不動産担保ローンのリスク
不動産担保ローンの
リスク
借入金が返済できない場合には担保不動産を失う
不動産ローンにおける最大のデメリットがこれです。
不動産担保ローンの際に設定する担保は、「返済ができない場合は、その担保を売って返済します。」という契約なので、必然的に、借入金が返済できない場合には、担保として設定した不動産を売却し、借入残高の補填をすることになります。
特にマイホームを担保とした際には、住居を失うことも踏まえた上で、不動産担保ローンを利用すべきです。
一概には言えませんが、約2ヶ月が返済遅延のリミットだと考えておきましょう。
それ以上の遅延が発生した場合、金融会社は法的手続きを開始し、担保とした不動産の売却に動き出します。
(※金融会社により対応が異なるので、必ず金融会社に確認・相談してください)
事務手数料などの諸費用が発生する
無担保のカードローンやビジネスローンの場合は、諸費用無料で借りることができる場合がほとんどですが、担保を設定する不動産担保ローンでは、不動産の鑑定や各種書類の発行等のコストが発生するため、以下の諸費用が発生します。
(ここ福岡の一般的な諸費用をベースにお話します)
- ●事務手数料:借入額の0%~5%
- ●不動産鑑定費用(事務手数料に含まれる場合が多い)
- ●収入印紙代(印紙税):0~20万円程度
- ●抵当権設定時の登記費用:借入額の0.4%
- ●抵当権設定時の司法書士に対する報酬):5万円前後
- ・・・
一番大きな費用になる可能性があるのが事務手数料です。
参考例をみてみましょう。
- 例)5,000万円の融資に対しての
事務手数料 -
- 1%の場合:50万円
- 2%の場合:100万円
- 3%の場合:150万円
- 4%の場合:200万円
- 5%の場合:250万円
となります。
ただし、事務手数料は利息制限法に基づき金利換算されるので、100万円以上の借入の場合であれば「事務手数料の金利換算+ 金利」が15%以内に収まります。
融資までの時間がかかる場合がある
不動産担保ローンは無担保のキャッシングなどと比べ、不動産の担保価値の査定する必要などがあるため、時間を要する場合があります。
ノンバンクの金融会社であれば、不動産事業を展開しているところもあり、その場合は自社で査定などを行えるため、融資までのスピードが早く、早急に借入が必要なニーズにも対応してくれるところも存在します。
とはいえ、思わぬ時間を要する場合もありますので、それを見越して余裕を持った申込を心がけましょう。
登記簿謄本(登記事項証明書)に「借入」が記録される
不動産担保ローンから融資を受ける際、抵当権や根抵当権の設定が必須です。そのため、登記簿謄本(登記事項証明書)に「借入」が記録されることになります。
この記録は、登記所に行けば誰でも見られる情報として公開されます。
そのため、抵当権が増えれば将来的な借入が難しくなったり、抵当権がついている状態では売却ができなかったりというリスクがあります。
もちろん、不動産担保ローンの借入を完済して抵当権を抹消すればそういったリスクを解消することは可能です。
途中全額返済をした場合、違約金が発生する場合がある
不動産担保ローンには、途中解約の違約金が設定されている場合と、そうでない場合があります。
例えば、不動産担保ローンの利用中に銀行から低金利で借入ができるようになり、全額借り換えを望んだ場合、途中解約の違約金が設定されていれば、その分損をしてしまうということです。
不動産担保ローンを利用する際は、金融会社を選定する段階で担当者に途中解約の違約金の有無をしっかりと確認しておきましょう。
担保とした不動産の価値が下落した場合のリスク
不動産は周りの環境や、時間の経過など、様々な要因で価値が変動します。
そして、金融会社は担保である不動産の価値を定期的に確認しています。
不動産担保ローンでは「融資している額<担保の価値」である必要がありますので、
担保とした不動産の価値が急落した場合、追加の担保や保証人を要求される可能性があります。
担保にできない不動産もある
不動産担保ローンは、返済が困難になった場合に担保とした不動産を売却して、その損失の補填を行うシステムのため、担保として設定する不動産は「売れる不動産」である必要があります。
金融機関ごとの鑑定により変わりはありますが、
- 道路に接していない土地
- 建物は、建築基準法上の道路に2m 以上接している敷地でなければ建てられません。そのため基準を満たしていない土地には建物を建てることができず、建物を建てることができなければ当然土地としての価値も低くなりますので、担保として設定できない場合もあります。
- 災害の可能性が高い土地
- 崖地など、災害の可能性が高い土地は当然買い手もつきにくく、売却できる可能性が低くなります。売却できない土地は担保として受け入れてもらえません。
- 離島や過疎地の不動産
- 首都圏から離れれば離れるほど、不動産としての価値は下がります。特に離島や過疎地の不動産は人気が低く、担保として設定できない可能性があります。
- 利用上の条件がある不動産
- 農地や保安林は法律で、その土地を利用する際に一定の用途以外には利用できなかったり、住宅を建てる場合は都道府県知事などの許可が必要になったりと、簡単に転用・売却ができません。扱いにくい不動産も担保として設定できない可能性があります。
以上のように、メリットも多くある不動産担保ローンですが、リスクも存在します。
そして、そのリスクに対面した際の金融会社の対応は様々です。
リスク軽減の一番の対応策は、良心的な金融会社を選ぶことに尽きます。良心的な金融会社であれば、追加担保の代わりとして金利を引き下げるなどの交渉に応じてもらえるかもしれません。
そのためにも、金融会社の選択は慎重に行うことが大切です。